医療をもっとオープンでフラットに~オンラインコミュニティ運営日記~

医療を自分事として捉え、みんなで未来を創っていくをコンセプトに2つのオンラインコミュニティを運営しています。その運営日記です。

日本全国により良い医療を届けたい~Antaa代表 中山俊さんにお話を伺いました(1)

こんにちは。緩和ケアを専門としている病院勤務の薬剤師の松本です。

さらに、臨床で得た学びを発展させて、オンラインコミュニティを通して医療をオープンでフラットにすることに取り組んでます。

 

この度、初めてのオンライン対談に挑戦しました。

 

FBグループIMOMI会(医療をもっと身近に)のメンバーである、Antaa代表の整形外科医である中山さんは、現在「医療現場におけるナレッジ共有ツール」の開発に取り組んでいらっしゃるそうです。

 

その取り組みに至った経緯や、現在の医療の問題点、今後の展望などお話を色々伺いました。

それでは、中山さんの想いをお聴きください(*´ω`*)

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教育用のスライドを共有するという取り組み

松本:中山さんが今取り組んでいらっしゃるAntaaについて、教えてください。

 

中山さん:

勉強会などで使われているスライドを教育用として医師が見ることが出来るシステムを創っています。今まで、ケアネットやm3という大手の会社がサービスとして取り組んでいたことなんですけど、どこも上手くいかなかったんです。

 

松本 :なぜ、既存のシステムは上手くいかなかったんですか?

 

中山さん:

理由は大きく2つあります。

まず一つ目は実際に投稿者がいなかったことです。

院内で勉強会はたくさんされていて、院内では共有されているところはたくさんあるんです。情報の質の担保というより、これで外に出していいのか、批判されることが怖くて情報を病院の外に出す人がいなかったんです。

 

もう一つは医師の使用のタイミングと既存のサービスが合わなかったんだと思います。デバイスへのアクセスの問題でここを何とかスマートフォンでアクセスが良いものにしようと今取り組んでいるところです。

 

Antaaを作ろうと思ったきっかけ

 中山さん:

ある時、学会に参加したら、みんなスライドをパシャパシャカメラで撮影してたんですね。写真でスライドを記録するくらになら、そのままスライドをシェアしてしまえたらと思ったんです。

そもそも学会で発表されたスライドの内容で論文になるのは2割しかない、8割は発表して終わってしまうんです。日本中で同じ研究が何度もされている状況はもったいないなぁと思ったことがきっかけです。

 

実は研修医が終わって整形外科医になろうと思って勉強を始めたんですが、そもそも、総合診療とか総合内科へ進もうと思っていたんです。

地域のいわゆるお医者さんになろうと。ただ、骨折が診れるようになった方が、地域に必要とされているんじゃないかという気持ちがあったんです。

現状、地域の内科で骨折まで診れるお医者さんってなかなかいないんですよ。けれど、元々は患者さんを全部診れるようになりたいと思ってます。

 

けれど、整形外科医となって2年ほど経つと、整形しか診れなくなってしまったんです。例えば、糖尿病の分野とかだと研修医の時にDPP-4(糖尿病治療薬の1つ)が出たばかりで、その後いつのまにかSGLT阻害剤(糖尿病治療薬の1つ)が出ている。自分がすべて学ぶ必要があるかというとそうでもないんですが。

 

それぞれの専門医がいる中で、他の分野の医学はどんどんすすんでいて、研修医のときに学んだ知識が正しくないこともでてきて、焦ったんです。

 

骨折した人の透析の方の管理はどうしたらいいんだろうって悩むこととかもあって。そうしたらある時、勉強会に参加したら答えがあったんです。誰かのスライドの中に。

 

これは、自分だけの悩みじゃなくて、みんなが見れるようにしてあげたら、医師がみんな助かると思って1年くらい前にAntaaの取り組みを始めました。

 

医療と社会を繋ぐ 

中山さん:

どの分野でもそうだと思うんですが、患者さんのニーズをいかに捉えるか、コミュニケーションが取られていないことが多いですよね。整形だと「痛みをとる」というのがニーズで、薬を使うこと、手術をすることを提供するんですが、喜ばれる場合と喜ばれない場合があるんです。

そういう時に僕が心掛けているのが、原因をしっかり説明する。何があって、だからこうなってるんだよと理解してもらうのが医療者の役割だと思ってます。

実際は、痛みをとることが出来ない場合もあるんですが、まずは出来ることをしっかり伝えることだと思います。状況を説明して痛み止めの選択肢を提案する。患者さんの中で納得してもらえるという医療を提供する。医療は万能じゃない。

医療者だけが正しいことを言っても何も変わらない。医療と社会が繋がる事が必要なんじゃないかなって思ってます。

 

松本:中山さんのようにしっかり納得するまで説明をしてくださる医師ばかりではないと思いますが、ニーズを探って丁寧に説明をしていうというのはとても大切なことですよね。

 

中山さん:

僕も、説明することが大切とは言いましたけど(笑)。実際、すべての患者さんに出来ているかというとそうではないんです。主観になってしまうんですが、こっちの人には説明した方がいいんじゃないか?例えば、若い人は説明を求める人が多い印象、高齢者は結果だけ求めている人が多い印象と判断してしまってるところがあります。

患者さんが、どこまで求めているのか理解するのは難しい。

 

松本:そうですよね。短い時間の中でニーズの全てを把握するというのはかなりの高度な技術だと思います。患者さん側からも発信してもらえたら、双方にとって上手くいきそうです。

 

(2)に続く。

本日も読んで頂きありがとうございました(*´ω`*)