減薬ダイアローグカフェ @福岡 に参加しました
ご無沙汰しています。
病院勤務の傍ら、医療をもっとオープンでフラットにするための学びを公開しています。
久しぶりの更新です。
11月12日、精神科の当事者と関係者で集まって減薬について語る
「減薬ダイアローグカフェ」に参加してきました。
実は、私は、今は緩和ケアを専門としていますが、薬剤師としての最初の仕事場は調剤薬局で、心療内科の処方箋を受け付けていました。
その後、就職して新人ほやほやの時代から4年間、精神科の合併症病棟を担当していました。
精神疾患があって入院治療を必要とする身体の疾患もある方が入院される病棟です。
そこでは、自殺未遂を起こした方や、幻覚に左右され、放火や他傷、自傷行為を起こした方、急性アルコール中毒やその他もろもろ色んな方と出会いました。
臨床なんて何もわからなかった新人時代に、「お薬教室」を担当し、逆に薬の事、何でも患者さんから教えてもらいました。
それだけでなく、対話の中で、人として存在を許されるということについて、私から見えている社会の別の側面について、たくさん教えてもらいました。
今の私がいるのは、あの4年の経験があったからだったりします。
そんなわけで、精神科の薬物療法にはちょっとした思い入れがあるのです。
とても、楽しみに当日を迎えました(*´ω`)
減薬ダイアローグカフェは普段は月1で浅草で開催されているイベントです。
ファシリテーターはジャーナリストの方で、精神科の薬剤を減薬または断薬に成功した方に過去100人以上インタビューされてきたそうです。
私がとてもいいなと思ったのは、カフェのポリシーです。
特に3。
過去ではなく現在の希望を起点に対話します。
やはりというか、現実というかこのような当事者の方たちの対話の場というのは精神科医療に不信感を抱いている方が多いです。
ファシリテーターの方が最初に
「過去ではなく現在の希望を起点に対話します。
精神医療の被害って確かにあると考えています。だけどここはこれまでの治療に対する怒りや恐れや被害者意識ではなく、これからの希望を起点に減薬について考える場です。」
と言われたことで、医療者としての肩の力が抜けた気がしました。
やっぱりそこのとこは、構えて参加していたようです。。。
場は全体的に和やかな雰囲気で進みました。
アイスブレイクも兼ねた、ゲームも交えた自己紹介タイムから始まりました。
メンバー構成は、服薬中もしくは断薬経験者の当事者の方が3割(減断薬希望者)、当事者の方のご家族が3割(減断薬推奨の方が多い)、精神科の薬物療法を受けている方を支援したいと思っている方が3割くらいでした。
その後、減薬体験をされたMさんの語りをみんなで聴いて、感じた事をシェアしました。
2016年は「聴く、聴かれる」という体験についてずいぶん学ぶ場が多かったのですが、集大成を見た気がしました。それほどMさんの物語はすばらしく、幼少時の考察から始まり精神科と関わるきっかけ、そこから何が崩れていって、どうやって再生していったのか、包み隠さずお話していただけました。
場の「聴く」という姿勢が彼女に力を与え、そして、彼女の熱量が場に循環するのが見えるようでした。その内容はホワイトボードぎっしり2枚分!
※個人情報なので詳細は割愛します。
そこで、私が感じた事、
・症状はある日突然出るのではなく、幼少期の体験に基づくことが多い(統合失調症のモデルで提唱されてますね)
・自分自身を客観視できれば、不安や生き辛いと感じているその人自身の個性と上手に付き合っていくことができる(語って聴かれるという体験は、その人自身をエンパワメントする)
・減薬だけに意識を向けて取り組んでも恐らく上手くいかないだろう
(医師の協力も得られにくいのでは?)
・医療者としては、本人が自分らしく生きるためのサポートの一環として、安全な減薬手段をお勧めしたい。
・メンタルの不調を整えるには、結局バランスが大事。薬だけではだめ。薬は補助。
(周知の事実ですね)
( )は心の声です。
断薬体験者のお話を聞いたのは初めてで、穏やかな、本当に豊かな時間でした。
参加できて本当に良かったです(*´ω`*)
まずは安全安心な場で、自分の体験を話してみること。
信頼のできる情報に繋がること。
みんなでどうするのがいいのか専門家も交えて考えてみること。
意識を医療/リハビリテーションモデルではなく、エンパワメントモデルへシフトすること。
私自身は減薬に賛成でも、反対でもありません。ご本人の想いに沿っているのならば、どっちでもいいと思います。
けれど、上記のような体験は薬に勝る良い治療になると思います。
減薬は一つの結果に過ぎないですね。減薬ダイアローグカフェは場自体が治療となる素敵な対話の場であると思いました。
薬のことに精通しているからこそ、たくさんの側面で目の前の人の「その人らしさ」をサポートできる、そんな可能性の片鱗を感じた時間でした。
あと、余談ですが、後日の対話の中で、どんな事情があれど「暴力を受けた」という体験はどれだけ時間が経っても、その人の脳裏と身体に刻まれ、強い衝動を起こしうるという事を当事者の語りとして知りました。
その方の過去の経験に対して、何が出来るわけではないですが、自分事として、考え続けたいと思います。
今後、減薬ダイアローグカフェは、オンラインでも開催されるそうです。
興味のある方は、facebookページがありますので、検索してみてくださいね☆彡
「減薬ダイアローグカフェマガジン」
https://www.facebook.com/dialogue.dialogue2016/?ref=ts&fref=ts
🌱 最後まで読んでいただきありがとうございました 🌱