医療をもっとオープンでフラットに~オンラインコミュニティ運営日記~

医療を自分事として捉え、みんなで未来を創っていくをコンセプトに2つのオンラインコミュニティを運営しています。その運営日記です。

日本全国に良い医療を届けたい~Antaa代表 中山俊さんにお話を伺いました~(2)

こんにちは。緩和ケアを専門としている病院勤務の薬剤師の松本です。

さらに、臨床で得た学びを発展させて、オンラインコミュニティを通して医療をオープンでフラットにすることに取り組んでます。

 

こちらは、続きの記事になります。

前回の記事はこちら:

日本全国により良い医療を届けたい~Antaa代表 中山俊さんにお話を伺いました(1) - 医療をもっとオープンでフラットに~medicalflatprojectの日記~

 

インターネット上で必要な情報が得られない

松本:椎間板ヘルニアで腰痛持ちの立場として、「痛みをとる」手段として、例えばマッサージや接骨院なども全てを肯定するわけではないんですが、選択肢としてはありだと思うんですが、全く繋がってないですよね。その辺りどうでしょうか?

 

中山さん:

なるほど。鍼灸師や柔整、マッサージの分野の人たち全くコミュニケーションがとられていないというのが現状です。そのような分野の人たちと交流するために、医療の場から外にでてコミュニケーションを取るよう心掛けているのですが、彼らが求めていのかはわかりません。

接骨院などは保険診療と自由診療が混在しており複雑です。全ての医者がいい医者じゃないように、いろんな人がいるのは理解してるんですが、医療と交流を持つという場があればぜひ活用してみたいですね。

 

松本:医療もそうだと思うんですが、鍼灸師やマッサージなどの分野でも真面目な人ほど、発言しない。他の分野のことを悪く言わないような印象があります。ビジネスにすること自体は悪いことではないけれど、正しく届かないのが問題ですよね。

かと言えば、不安を煽ったり、強く医療を批判したりするような情報発信もあって、医療側としては、弁解する場もなくて、辛いなぁと感じたりします。

 

中山さん:

そうですよね、医療はみんな真面目。基本的に、もめるのもめんどくさいし、黙っておこうってなることが多いように思います。金儲けは悪い事と言われていますしね(笑)。

 

けれど、日本は医学情報が正しく届いていないという現状があって問題だと思ってます。インターネット上の医学情報の正しい割合がアメリカに比べて1/2~1/3しか存在していない。

 

医者としては、誠実に対応して、理解をしてもらうのは大切なんですが、そもそも不信があるところからのスタートだと、きちんと説明が届かないこともあります。

 

僕が出来ることは医者側の世界を変えていくということをやるべきだと思っています。それが、医者の情報共有なんです。

そして、さらに、その先の目指す方向は医者の情報共有の内容を一般に人たちにも見れるようにしたい。インターネット上に正しい医学情報が、溢れるようにしたいんです。

 

患者さんは病院に来る前に、インターネットで調べたり、口コミで調べてくるんですよね。色んなサービスがインターネット上に医学の情報を流すようにしていますが、医者が知りたい情報まで踏み込んでいるものは少ないので、そこまで情報を出してあげるのがAntaaの取り組みの価値だと思っています。

 

そして、一般の人たちに関しても、自分の病気に関してもっと詳しく知りたいと思っているので医者が知っているステージまで出来るだけ分かり易く情報をだしてあげることで、知識が共有されて、納得して、理解したうえで医療を受けられるようになるんじゃないかなって思ってます。

 

Antaaを通して発信したいこと ~誰に届けたいか~

 松本:医療者は勉強していて当たり前という風潮がある中、なかなか地域医療を支えている医療職は勉強会にすら自由に参加出来ないという現状があると思います。

中山さんの取り組みは本当に素晴らしいですね。

 

中山さん:

出身が鹿児島で産まれたのは奄美大島なんです。めちゃくちゃ田舎で、そこに幼少期だけいました。離島にいる医者とか患者さんにいいものを提供することが自分の目指している医療の形なんです。そこで働く人たちが幸せになることを目指している。

 

今の様々なビジネスのサポートなんかを受けて患者さんが医療を選べるサービスは増えているんです。名医を選ぶとか、よい医療機関を選ぶとか。けれど、医療を提供する医者側をサポートするというツールがない。そこは、医者個人の努力、それぞれの努力で何とか頑張ってくださいよという風に委ねられている。それだと辛いんです。

 

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(個人で全ての臨床知識をカバーするのは不可能。そして臨床疑問はインターネット検索では9割解決しないという現状) 

 

自分自身も東京に出て、こんなにいっぱい勉強会があるんだって知りました。

勉強会に行ったから知識が得られるんじゃなくて、やる気があれば情報が得られるようにしてあげたい。僕の原点が離島なので、情報共有なんじゃないかなというのが僕の一つの答えだと思っている。都会で働く医師と鹿児島や、離島で1人で頑張っている知識の差を薄めてあげたい。勉強会に行かなくても知識があれば情報が得られるようにしてあげたい。そのツールが情報共有だと思っている。

 

松本:地域で頑張っている人がえらいですよね。

 

中山さん:そうですね。

学ぶことが増えてるのに、学ぶことが難しいということを知ってもらうことは大事だと思ってます。医者も認識すべきだし、医者以外にも医療を受ける患者さんにも知ってもらいたいと思ってます。

 

そのうえで、みんなで繋がっていろいろ新しいことが出来たらすてきですよね。

 

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松本:本当にそうです!IMOMI会も医療を受ける側、提供する側がそれぞれの立場で医療について参加できるようになればと思って作ったので、情報発信の場に活用いただければと思います。病院以外の個々の接点を増やしていくことが大切だと感じています。IMOMI会でもぜひ登壇してください(*´ω`*)

 

中山さん:はい。機会があればぜひよろしくお願いします。

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<編集後記>

こちらの対談自体は3月の終わりに行ったのですが、文章として一気に書き上げたのは4月17日でした。熊本で本震が起きた翌日です。

私の住んでいる地域も余震でしばらく揺れを感じていました。

 

直接支援に入ることの出来ない私は、関東やそのほかの医療者の仲間が発する信頼に耐えられると判断出来た情報を必死でSNSでシェアし続けました。

 

残念ながら、日本のインターネット上に流れる情報は信頼できないものや、偏った意見、古い情報が本当に多いのです。

 

実際、それしか出来ませんでした。

 

けれど、その後、震災が起きた翌日に被災地に支援に入った先輩薬剤師さんから、

「情報がないし、あったとしても信頼できるか分からなかったところが本当に怖かった。情報発信をしてくれて助かった」とのコメントを頂きました。

 

中山さんの取り組みの価値を、心の底から感じました。みんなが、経験したことのない中でプロとしての判断を迫られる災害時こそ、ナレッジツール、必要ですね。

 

「医療者が発信する事」が大切。 改めてそう思いました。

中山さんの「Antaa」、これからも応援したいと思います。

 

もし、こちらの記事を読んで、「Antaa」の事もっと知りたい、応援したいという方(特にスライドを提供したい共有したい医師の方)いらっしゃいましたら、さらに詳しい取り組みを示した資料をお渡し出来るとともに、中山さんと繋ぐことも出来ます。

ご連絡くださいませ( *´艸`)

 

🌱 最後まで読んでくださりありがとうございました 🌱